
先日発足した「10年続く飲食店経営協会」。その記念すべき第1回が開催され、おかげさまで大盛況のうちに終えることができました!😊
ご参加いただいた皆さま、告知にご協力いただいた皆さま、そして「参加はできなかったけれど次回はぜひ」と言ってくださった皆さま、本当にありがとうございました。会場には飲食店の経営者さんとサポート業の方々が集まり、開始前から名刺交換の輪があちこちで生まれていました。第1回からこんなに温かい空気をつくれたことが、何より嬉しかったです。
「10年続く店」をつくるために
この会は、いかにして飲食店経営を末永く続けていくか——をテーマにした、経営者とサポート業の方の学び合いの場です。
10年続く店舗は10%にも満たないと言われる飲食の世界。「おいしいのに続かないお店」も、本当にたくさんあります。私たちは年間を通じて数多くの飲食店さんを回らせていただいていますが、長く愛されるお店ほど、物価高も人手不足もお客様の変化も、焦らず一歩ずつ受け止めているように感じます。
たとえば、かつては3世代でにぎわっていた宴会が減り、ご夫婦やご家族だけの来店が増えている。会社関係の宴会も以前ほどではない。人口構成もお客様の志向も、確実に変わってきています。だからこそ、すでに10年以上続け、なお発展を続けている先輩経営者の「生きた経験」から学ぶことが、これからますます大事になる——そんな思いでこの会を立ち上げました。
掲げているのは、「みんなで勝つ」という理念です。飲食店の方も、それを支える関連業者の方も、みんなが勝てる状況をつくる。困ったときに必要な知識にたどり着ける場所であり、過去の成功体験にとらわれず一緒に進化していける場所でありたいと考えています。
記念すべき第1回のゲスト
記念すべき第1回のゲストには、業態も戦い方もまったく異なるお二人の経営者をお迎えしました。
- 株式会社絶好調(吉田社長) — 新宿を中心に、ドミナント戦略で多業態を展開
会社ページ:https://z-no1.jp/ - 株式会社スースーチャイヨー(川口社長) — タイ料理ひと筋、タイ人スタッフが中心の組織で複数店舗を展開
会社ページ:https://www.sscy.co.jp/

理事メンバーが「これは聞いてみたい」と持ち寄った質問をベースに、パネルディスカッション形式で本音を語っていただきました。お二人に共通していたのは、決して順風満帆ではなく、数えきれない失敗と試行錯誤を糧に今の発展に至った、というお話。その一つひとつが、聞いている私たちの胸に刺さりました。
1号店はどちらも「壮絶」だった
まず驚かされたのが、お二人の1号店の立ち上げです。今の姿からは想像できないほど、どちらも壮絶なスタートでした。
吉田社長の1号店は、歌舞伎町の雑居ビルの上層階。看板を見て来店するお客様はほぼゼロという、いわゆる超悪立地だったそうです。「立地が良くても、味が良くても、サービスが良くても、結局は集客できなければ意味がない」——だからとにかく、知り合いという知り合いに声をかけ、人の力で満席をつくっていった。SNSもまだ限られていた時代に、マンパワーで道を切りひらいた、という趣旨のお話が強く印象に残りました。
川口社長の1号店も、繁盛しにくいと言われていた立地の2階。最初はお客様が来ない日が続き、夜遅くまで営業してみたりと、いろいろ試しては空回りする日々だったといいます。転機は、お店の「あるべき姿」に気づいたこと。流す音楽を整え、休憩や閉店の時間をきちんと決める——そうした当たり前を一つずつ整えていったら、少しずつお客様が戻ってきた。さらに「人を増やすほど売上が伸びる」と腹落ちするまでに3年かかった、と笑いながら振り返る姿が、とても誠実でした。
諦めない。やめるのではなく、やり方を変える
「1ヶ月、3ヶ月とうまくいかない時期に、なぜ諦めなかったのか」。この問いへの答えが、この日いちばんの金言だったかもしれません。
お二人とも、「諦める」という選択肢はそもそもなかったと言い切ります。ただし、頑なに同じことを続けたわけではない。「諦めるのではなく、やり方を変える」。粘り強く続けながら、合わないところは柔軟に変えていく。そして口をそろえておっしゃっていたのが、「成功が早い、というのは嘘」ということ。本当に形になるまでには、3年、5年と踏ん張る時期が必ずある、という趣旨のお話でした。軽やかに飛び込み、しぶとく粘り続ける——その両方が大事なのだと、改めて教わりました。

1店舗から2店舗へ ——「職人」から「経営者」への壁
多くの経営者がぶつかるのが、1店舗から2店舗目への壁です。
お話を伺うと、ここには大きな役割の転換があるようです。1店舗目は、自分の腕とこだわりで成り立つ「職人」の世界。けれど2店舗目からは、人にお願いし、仲間を巻き込んでいく「商売人・経営者」の世界へと変わっていく。最初は自分のこだわりを押し通そうとして衝突し、謝っては立て直しを繰り返した——という赤裸々なエピソードもありました。
吉田社長が印象的だったのは、1店舗目の段階からあえて店長を立てていた、というお話。オーナー一人にお客様がつくと、2店舗目を出したときにお客様が分散してしまう。だからこそ理念は1号店から浸透させ、2号店は1号店の8割の売上でも利益が出るように設計しておく——その堅実な「設計思想」が、長く続く秘訣なのだと感じました。
変えないこと、変えること ——「変化ではなく、進化を」
時代が大きく動くなかで、「変えないこと」と「変えること」をどう線引きしているのか。ここも深く考えさせられたテーマです。
変えないものとして挙がったのは、理念・人材育成・想いでした。吉田社長は「理念浸透と人づくりは創業時から一貫して力を入れている」とのこと。川口社長も「タイ料理が好き、広めたい、喜んでもらいたい、という想いは変わらない」と語ります。
いっぽう変えてきたものは、感覚から数字・マーケティングへの転換、AIの活用、味をさらに良くするためのセントラルキッチン化など。なかでも川口社長の「変化はしない、進化しろ」という言葉には、多くの人がメモを取っていました。看板メニューはそのままに、素材や作り方は磨き続けてもっとおいしくしていく。守るべき芯は守り、手段は進化させる——そのバランス感覚に、たくさんのヒントがありました。

飲食店こそ、AI・DXを「小さく早く」
第1回のテーマのひとつが、AIやDXとの向き合い方。ここはサポート業の参加者にとっても、特に学びの多いパートでした。
吉田社長は、議事録づくり、経営戦略の壁打ち、お客様への返信文の作成、契約書で自社に不利な点がないかのチェック、さらに画像生成AIでお店の内観イメージを描いてスタッフと共有するなど、すでに幅広く活用されているとのこと。DXの面でも、コロナ期にいち早くモバイルオーダーを導入し、エリアによってはキャッシュレス化も進めている。「コストをかけず、スモールステップで、誰よりも早く食いつく」——この姿勢が一貫していて、とても勉強になりました。
川口社長は、人事・社内コミュニケーション・会計のツールを定着させたうえで、近年はAIを使って口コミ分析や時間帯ごとの客数予測、社内ルールのチャット化などを自分たちで内製化し、コストを抑えているそうです。「使えるものはどんどん試し、合わなければやめる。みんなで勉強していく」という、現場に根ざした実践のお話が印象的でした。
失敗から学んだこと ——「3つのM」と「本業への集中」
成功談以上に学びが多かったのが、お二人の失敗談でした。
川口社長が挙げたのは、見栄を張った出店。良い立地に立派なお店をつくったものの苦戦し、そこからたどり着いた教訓が「3つのM=見栄・無駄・もったいない、をなくす」。身の丈に合った投資を心がけ、古い設備はきちんと入れ替えて1店舗あたりの価値を高めていく——という考え方は、規模を問わず参考になるはずです。
吉田社長は、余計な業態や異業種への展開はかえって遠回りになった、という趣旨のお話を率直にしてくださいました。だからこそ「自分たちの強みが活きる本業に集中する」ことの大切さを痛感した、と。挑戦の数だけ得た学びには、説得力がありました。
10年続く一番の鍵は、結局「人」
最後に「10年続ける一番の鍵は何ですか」と伺いました。表現は違えど、お二人の答えは同じ方向を向いていました。
吉田社長の答えは「お客様から愛されること」、そして結局は「人」。お客様、スタッフ、そして取引先のパートナー企業——そのすべてを大切にすることだ、と。なかでも、つい後回しにされがちな取引業者さんとの深い関係づくりを大事にしている、というお話は、多くの経営者の気づきになったはずです。
川口社長の答えは「強く必要とされる存在になること」。お客様にも、取引先にも、働く仲間にも、「この人たちに頼みたい」と思ってもらえる存在であること。そして堅実な経営の大切さに触れたうえで、「実業をやっている自分たちが頑張ろう」という熱いメッセージで締めくくってくださいました。この言葉に、会場の空気がぐっと一つになったのを覚えています。
懇親会まで、大盛況

蓋を開けてみれば、懇親会まで含めて多くの方にご参加いただきました。およそ半分が飲食店経営者、もう半分が飲食店サポート業の方という、まさに「学び合い・つながり」の理念にふさわしい顔ぶれ。懇親会では、セミナーの熱がそのまま続くように、業態や立場を越えた相談や名刺交換が止まらず、新しいご縁がいくつも生まれていました。😊




当日、会場でふるまわれたお料理の数々。会場の温かい雰囲気とともに🍽️
登壇いただいた吉田社長、川口社長、そしてご参加・ご協力いただいたすべての皆さまに、心より感謝申し上げます。第2回以降も、飲食店経営の現場に役立つ学びと、新たな出会いの場をつくってまいります。次回もどうぞお楽しみに!
▶ 登壇いただいた両社の公式サイト
・株式会社絶好調(吉田社長):https://z-no1.jp/
・株式会社スースーチャイヨー(川口社長):https://www.sscy.co.jp/
